2017-06-22

(小説ベガの母船03のつづきです)

「母船の中を案内しますので、付いて来てください。」

「はい、ロイさん。」

「ロイでいいですよ。」
「私もカロリーナでいいですよ。これから仲良くしましょうね。」

「はい、ロイ、カロリーナ。ってなんかまだ言いにくいですが、これからよろしくお願いします。」

自動ドアが開き、廊下に出て歩こうとすると、来た時のように、少し体が浮いて、滑り出すように勝手に体が進んで行った。

「あの、この母船の中を歩こうとすると、体が浮いて勝手に進んで行くようなんですが、これはどうなっているのですか?」

「この母船の中では、全てが想念によって現れるのです。だから、進みたい方向に想いを定めると、そちらの方へと体が浮いて滑って行きます。」とカロリーナが答えた。

「そういうことなんですね。そしたら気持ちが散漫になると、想った方向へ進めないんですか?」
ゴツン!と、ちょうど今、気が散っていて壁にぶつかってしまった。

「気を付けてくださいね。私も幼い頃はよくそんな風に壁にぶつかりましたよ。」とロイが答えた。

「私はこれから用があるので、ここでお別れします。また後で会いましょう。」と言ってカロリーナは壁の中へと消えて行った。

「ところでロイは声が低いですね。見た目から想像すると女性らしい高い声で話しそうなのに。」

「イーリア、私は男ですよ。」

「え?!見た目が美少女だから、女性とばかり思っていました。それは、失礼しました!」

「いえいえ、私たちの星では、女性も男性もあまり関係ないので気にしないでください。地球でいうところの男女のイメージとは違っています。恋愛も男女問わず自由ですし、子供を産むのも男女関係ありません。」

「そうなんですか!なんだか、地球と概念が違いすぎて聞きたいことが多すぎて、何から聞こうか迷いますね。」

「時間はたっぷりありますから、何でも聞いてください。」

廊下を抜けて自動ドアが開くと、そこはまるでヨーロッパの街並みのように、古く立派な建物が並んでいて、多くの人々が行き交い、一つの都市に来たようだった。

「え?!ここは母船の中ですよね?
まるでどこでもドアでヨーロッパに来たみたいです。」

「ハハハ、どこでもドアと似たような概念のものはありますが、違いますよ。ここは母船の中です。
この母船は、外から見るよりも、中はずっと広いのです。」

「そうなんですか!こんな世界があるなんて、ほんとに驚きの連続です。」

「紹介したい人がいるので、今から呼びますね。
ピラ〜、遊びに来たよ〜。」
と街に向かってロイが叫ぶと、すぐに目の前に少年が現れた。

髪の色はシルバーで、ストレートのおかっぱ。
年の頃は、10歳くらい。
肌の色は、なんと緑色だった。
白い上下の服には、黒い縦のラインが入っている。
幼い無邪気さと、活発そうな足取り。
瞳は凛々しく、賢そうな感じがした。
少年は、無邪気な笑みを浮かべてしゃべり始めた。

「イーリアが来たんだ。会いたかったよ〜。
僕の名前はピラ。よろしくね。」

「はじめまして、ピラ。
君、地球人じゃないよね?
会ったことないはずなんだけど、でもなんだか会ったことがある感じがするな〜。
どうして私のことを知っているの?」

「イーリアは覚えてないんだね。まぁ、地球に行っちゃったんだから、仕方ないか。
僕らはずっと友達だったんだよ。君が地球に行ってからだって、僕は何回も君の様子を見に行って、夢の中に現れたりしてた。僕から会いに行くだけじゃなくて、君が呼んで現れたこともあったじゃないか。でも覚えてないかな。」

「う〜ん、そうだったかな。だから会ったことがあるような感じがするのかな。」

(つづく)

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